羽黒山五重塔
山形県鶴岡市羽黒町手向(とうげ)にある羽黒山五重塔は、出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)信仰の中心地、出羽神社の境内に立つ国宝建造物である。羽黒山の標高414メートルの山頂と、麓を結ぶ長い石段参道の途中、杉並木のなかに静かに立つ姿で広く知られる。 塔の建立年代は明確には記録に残らないものの、室町前期の応安5年(1372年)に、出羽国守護で武家の藤原宗忠の発願により再建されたとする寺伝が中世以来伝わってきた。これより前にも複数回の建立・焼失を経たとされ、現存する建物は5回目の再建にあたると考えられている。塔全体は三間五重塔婆、総高さ29.0メートル、檜皮葺の屋根、木造素木造りという中世以来の様式を引き継ぐ建築である。 明治の神仏分離令により羽黒山は出羽神社となり、寺院色の濃かった建物の多くが廃された。五重塔は神社の境内ではあるが仏塔の形式を保ったまま残された数少ない遺構である。1966年(昭和41年)に国宝に指定された。 五重塔への参道は、随神門から羽黒山頂までを結ぶ「神々の道」と呼ばれる2,446段の石段の途中にある。羽黒山の杉並木は約600本、樹齢350〜500年の老杉が並ぶ参道は「特別天然記念物」に指定され、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三つ星評価を受けた東北を代表する景観のひとつになっている。 出羽三山は古代から東北の修験道の聖地であり、現在も「山伏」と呼ばれる修行者による秋の峰入り行事が続けられている。出羽神社が運営する伝統文化保存活動の一環として、外国人を含む一般参加者向けの修行体験プログラムも提供されている。 アクセスは庄内空港から車で約30分、JR鶴岡駅からバスで約40分。例年12月から3月までは積雪のため石段参道の一部に通行制限がかかる。詳細は出羽三山神社公式サイトに掲載されている。