
長柄町ダムの水没集落
千葉県長生郡長柄町に位置する長柄ダムは、1971年の房総導水路事業着手から1985年の完成に至る約15年の建設期間を経た水資源施設である。独立行政法人水資源機構が管理するアースダムで、高さ52メートル、総貯水容量1000万立方メートルを備える。この規模は、同型式のアースダムとしては関東地方最大級に相当する。 房総導水路は利根川の水を房総半島へ導水し、東京湾岸の京葉工業地帯への工業用水供給と、周辺市町村の農業・生活用水確保を目的として計画された。長柄ダムはこの導水路の調整池として機能し、受け入れた水を東金ダムを経由して房総半島全域に分配する。1977年の横芝ポンプ場稼働から、1986年の京葉工業地帯への工業用水供給開始、1997年の房総半島南部への供給完了まで、段階的に実運用が進められた。 ダム湖の一部は旧市津町(現・市原市)に接する区域として市津湖と命名されている。渇水時には湖底の旧地形が露出することが知られており、ダム建設以前の土地利用の痕跡が物理的に現出する。ネット上では、湖周辺を夜間に訪れた際に不可解な光景や音響を経験したという報告が散見されるが、その現象の多くは、夜間照明に乏しい水辺環境における知覚の不確定性に基づくものと考えられる。