
本巣市廃農村の道祖神の祟り
岐阜県本巣市の山あいには、根尾谷沿いの古い農村集落が点在しており、辻や村境、田畑の縁には旅の安全と疫病除け、子孫繁栄を願って祀られた道祖神が、苔むした石のかたちのまま今も静かに残されている。離村が進んだ地区では、かつて子どもたちが小正月にどんど焼きの火を囲み、火の粉と煙のなかで道祖神に手を合わせていた風景はすでに途絶えつつあるが、石仏そのものは集落の暮らしと祈りの輪郭を、雨風のなかで世代を超えて伝え続けてきた存在である。 寄せられる体験談で繰り返し語られるのは、廃集落の辻にある道祖神の前を車で通り過ぎようとすると、平坦な道のはずなのにエンジンが一瞬不調をきたし、後で確認した写真にだけ淡い光の筋が石仏の脇に細く写り込んでいる、というものである。背後で藁を擦るような乾いた音が短く聞こえた、石仏の前で急に肌が冷えるのを感じた、と語る訪問者もいる。 地元では、放置されがちな道祖神を季節ごとに清掃し、年に一度の小さな供養や注連縄の掛け替えを絶やさぬよう努める住民の姿が今も見られる。現象の語りは、信仰の場を粗末にしてはならないという戒めとして、世代を超えて穏やかに伝えられ続けている。 山間の旧道は落石や狭隘区間が多く、夜間の路肩停車は追突や滑落、対向車との接触の危険が高い。心霊目的の深夜訪問は厳に控え、石仏に向き合う際は静かに手を合わせ、私有地の田畑や祠の敷地、墓地に踏み込まず、写真撮影や供物の持ち去りも厳に慎むこと。