
福島県 岩瀬郡天栄村·宿泊・居住跡
旧二岐温泉廃旅館
二岐温泉は福島県岩瀬郡天栄村、二岐山の山麓に湧く古湯で、開湯は安和2年(969年)と伝えられる。標高約800メートルのブナ林に囲まれた渓谷沿いにあり、江戸期には入浴を制限された隠し湯とされた。周辺には平家の落人が定住したという伝承も残る。カルシウム硫酸塩泉の湯は切り傷や火傷への効能で知られ、長く湯治場として利用されてきた。漫画家つげ義春が1967年に投宿し、作品『二岐渓谷』の舞台としたことでも知られ、その宿は改修後も玄関を残す形で営業を続けているという。現在も数軒の宿が点在する山あいの秘湯である。谷あいの木造建築と深い山霧が独特の景観を生むことから「廃旅館」として心霊の対象に挙げられることがあるものの、廃業した特定の宿の所在や、怪異・事件を裏づける信頼できる記録は確認できなかった。