
養老渓谷粟又の滝
千葉県夷隅郡大多喜町を流れる養老川の上流部にある粟又の滝は、房総半島を代表する景勝地である。落差30メートル、流下距離100メートルにわたって、なだらかな岩盤を清流が絹糸のように滑り落ちる光景が特徴で、紅葉の季節には多くの観光客が訪れる。 滝壺周辺および渓流一帯の岩場は地質学的に特徴的である。砂岩と泥岩の地層が交互に積層した地質構造のため、柔らかな砂岩が雨水により易々と浸食され、硬い泥岩は残留する。この差別浸食が滝の独特の形態を生み出す一方で、岩表面は濡れると極めて滑りやすくなる。 水量の増減は季節と降雨に大きく左右される。増水時には流速が急増し、見た目の予測と実際の水流の勢いとが大きく異なることがある。滝壺の水深や下流の瀬の状態も刻々と変わる。水に溺れる事故が過去に記録されており、滝を訪れる者は常に水の力を過小評価しないことが求められる。