
秋ヶ瀬公園
埼玉県さいたま市桜区に広がる秋ヶ瀬公園は、荒川左岸の広大な河川敷を活用して整備された都市公園で、野球場やテニスコート、ピクニック広場、野鳥観察のための雑木林を備え、四季を通じて多くの市民の憩いの場となっている。もともと荒川の氾濫原として水と向き合ってきた土地を昭和期に整備した経緯があり、日中は親子連れや自然観察、スポーツの人々で賑わう一方、街灯が少なく夜は河川敷特有の静けさと深い暗さに包まれる土地でもある。 寄せられる体験談で繰り返し語られるのは、深夜に駐車場から林道へ入ると、木立の奥のほうから赤ん坊の泣き声に似た細い響きが断続的に届いてくる、というものである。葉擦れの間に薄い人影のような輪郭が一瞬よぎった気がした、川面の方角から低く長い声が短く聞こえてすぐに消えた、と語る訪問者がいる。荒川下流域に積み重なってきた水難の記憶が、夜の河川敷の景観のなかで物語的に静かに立ち現れている。 地元では、河川敷で命を落とされた方々への祈りが、慰霊の碑や定期的な河川清掃の活動、地域の水難防止運動と防災教育を通じて穏やかに引き継がれてきた。怪異の語りは恐怖を煽るものではなく、川と人の距離感を伝える静かな寓話として共有されている。 公園は夜間に街灯が乏しく、増水時の河川敷は冠水や転落、流される危険が大きい。心霊目的の深夜訪問は厳に控え、訪れる場合は日中に遊歩道や広場で穏やかに過ごし、亡くなった方々への敬意を欠かさないこと。