
旧神原トンネル(神原隧道)
岐阜県飛騨市の神原峠にあった旧神原トンネル(神原隧道)は、神岡町柏原と古川町太江を結ぶ県道75号神岡河合線に架かる隧道である。峠は1886年に馬車が通れる道へ改修されたものの、急坂とカーブが続き通行は容易ではなかった。1923年に着工した改修工事により、1924年に全長180メートルの煉瓦造坑門を持つ隧道が完成し、北陸と飛騨を結ぶ道として長く利用された。その後、国道41号の経路が数河峠側へ移ったことで幹線としての役割は薄れ、県道として地域の往来を支える存在になった。幅員は4メートルにとどまり大型車の対面通行が難しかったうえ、冬場には内部に大きなつららが下がることもあったため、1988年に新トンネルの建設が始まり、1990年末に南側へ新たな道が開通した。旧トンネルはその役目を終え、現在は坑門付近が土砂に埋もれ、内部にはコウモリが棲みついているとされる。峠の名を挙げて幽霊の噂を尋ねる投稿がインターネット上の怪談まとめに残っているなど、往来の記憶が薄れた廃隧道として静かに語られることがある。