
二股トンネル(朝鮮トンネル)
岐阜県八百津町南戸、国道418号の通行禁止区間に残る二股隧道は、銘板に「昭和三十一年五月竣工」と刻まれた古いトンネルである。木曽川の治水と発電を目的とした丸山ダムの建設により水没する道路の代替として整備された道の一部で、通称「朝鮮トンネル」とも呼ばれる。この名は、建設にあたり強制連行された朝鮮人労働者が人柱として壁の中に埋め込まれた、あるいは工事中の事故で死亡した労働者の処理に困った関係者が遺体を隠したためだ、という噂に由来する。ただしトンネルの竣工は戦後の1956年であり、戦時中の強制労働を直接示す記録は見当たらない。一方「二股」という地名自体は、ダム完成前に木曽川の中州で流れが二筋に分かれていた地点を指す呼び名であり、トンネル内部の構造とは関係がないことが後の調査で判明している。照明のないトンネル内では、男性らしき人影や叫び声、体をつかまれる感覚などを覚えたという声があり、壁の落書きが目撃談とともに紹介されることもある。現在は道路自体が閉鎖され、新丸山ダムの完成に伴い水没する予定となっている。


