
赤名トンネル
島根県飯南町と広島県三次市の境、赤名峠に架かる国道54号のトンネルで、1964年9月に開通した全長599.8メートルの隧道である。峠道自体は古代から出雲と備後を結ぶ交通路として利用され、『出雲国風土記』にもその名残がうかがえる要衝であり、江戸期には石見銀山周辺の物資輸送路としても使われてきた歴史を持つ。トンネル開通後も冬季の積雪や急なカーブの影響で交通事故がたびたび発生してきたとされ、老朽化による改修事業も進められている。こうした事故の多さを背景に、トンネル内で白い服の若い女性を見たという話や、モンペを着た老女の霊が走行中の車に取りすがってくるといった話が語られている。この女性の霊は表情を変えずに運転者をしばらく見つめてから姿を消していくと語られ、老女の霊についても車に取りついた際に窓ガラスをこつこつと叩くような音が聞こえるという噂がある。ランドセルを背負った子供の霊が背を向けて歩いている、「助けて」という女性の声が車内に響き寒気を覚えるといった報告も見られる。一方で、日常的にこの道を利用する周辺住民の間では噂ほどの緊張感は伴わないとも言われ、ネット上でも事故の多さから噂に尾ひれがついたのではないかと疑問視する意見も見られる。島根側の出口付近には道路管理者によるライブカメラが設置され通行状況が監視されており、高速道路網の整備が進んだことで幹線としての交通量は減ったとみられ、現在は周辺住民の生活道路としての利用が中心になっているという。