
旧由利本荘廃病院
秋田県由利本荘市の郊外に残される廃病院は、地域医療の近代化と衰退の歴史を象徴する建物である。昭和初期、世界恐慌と凶作で困窮した農民たちが相互扶助の精神で資金を出し合い、1933年に由利医療購買利用組合として開院した。農村地域における医療基盤の確保という重要な役割を担い、戦後の1948年には秋田県厚生農業協同組合連合会に移管され、1957年には総合病院へと発展した。 しかし1994年、由利組合総合病院は新築移転が完了。当初750床の新病院が開業したが、その後も秋田県全域で進む医療体制再編と人口減少の圧力を受け、病床数は次第に削減されていった。由利本荘市の人口も1970年の95,000人から現在67,000人へと30%近く減少している。日本海側の豪雪地帯という立地による高い維持管理コストと、医療需要の低下に直面し、旧病院は解体されないまま劣化が進み続けている。