佐久間ダム
佐久間ダムは、静岡県浜松市天竜区佐久間町と愛知県豊根村の境を流れる天竜川本流に築かれた重力式コンクリートダムである。1953年に着工し、当時としては異例の速さで1956年に完成した、戦後復興期を象徴する大規模土木事業として知られる。工事期間中は豪雨や台風による土砂崩れ、転落などの事故が相次ぎ、96名の作業員が命を落とした。犠牲者を悼む慰霊碑がダム施設近くに建てられている。またダムの建設に伴い、静岡・愛知・長野の3県にまたがる集落から合わせて296戸が水没・移転の対象となり、当時の愛知県富山村の中心部も湖底に沈んだ。 このような建設史を背景に、ダム周辺のトンネル群――佐久間第2トンネルをはじめ、うなぎだる隧道、丸山トンネル、松島トンネル、松の平隧道などでは、走行中の車の屋根や窓を叩くような音が聞こえるという噂や、トンネル内を複数の人影が歩いている姿を見たという目撃談が広まっている。これらの怪異は、建設中に亡くなった作業員や、水没した村の記憶と結び付けて語られることが多い。