
旧小峰トンネル
旧小峰トンネルは、深夜に内部から正体不明の足音が聞こえてくるという噂が地元で語られている。訪れた者の中には、完全な暗闇の奥から誰かがこちらへ向かってくるような気配を感じた、と証言する者もいるとされる。また、坑門付近で撮影した写真に人影のようなものが写り込んでいたという体験談も複数伝わっており、心霊スポットとして一部の界隈では以前から知られた存在になっているとも言われている。かつてこの旧道沿いで事故や行き倒れがあったという言い伝えも残っているとされ、それが怪異の原因ではないかと囁かれることもある。 静岡県静岡市葵区、安倍川の支流が刻む谷沿いの旧道に現存するこの隧道は、大正から昭和初期にかけて開削されたものと地元郷土史の記述から推定されている。安倍川流域は江戸期より養蚕・林業・薪炭生産で栄えた山間地で、生糸や木材を麓へ運ぶ運搬路の一部として掘られたとみられる。新道・バイパスの開通後は生活道としての役割を終え、現在は通行量がほぼない状態だ。延長は50メートル前後と短く、照明は設置されておらず内部は完全な暗闇。床面は湿気が多く水たまりと落葉が堆積している。文化財指定はされていないものの、近代土木遺産として記録保存の対象に注目されるようになってきた。落石・陥没など危険な箇所もあるため、訪問には十分な注意が必要とされている。