
九千部山
佐賀県鳥栖市と福岡県那珂川市の境に位置する脊振山系の九千部山は、標高847.5メートルの山道・峠道として登山者に利用されている。山名の由来は天暦5年(951年)頃の伝説にさかのぼる。疫病や飢饉に苦しむ村人を救うため、若い僧・隆信が法華経一万部を49日間で読み上げる願をかけて山にこもった。しかし満願を目前にして白蛇や美しい女の幻影に心を乱され、読経は九千部に達したところで途絶えてしまったという。捜索に入った村人は谷間で息絶えていた僧の姿を見つけ、これが山名の由来と伝わっている。現在も経塚や供養塔が山中に残されている。古くは修験道の霊地とされ、山伏の修行の場であったとの伝承もあり、山を荒らす者を惑わせるという天狗の言い伝えも一部で語られている。近年では2014年に74歳の男性が登山中に行方不明となり、警察との通話を最後に消息を絶ったまま遺体は見つかっていない。こうした背景から、山中で正体不明の人影や足音、読経のような声を聞いたとするインターネット上の体験談が複数見られ、心霊スポットとして扱われるようになった。
