
千葉県立佐原高校
千葉県香取市に残る旧千葉県立佐原高校の廃校舎は、1980年代に統廃合により閉校となった後、長らく利用されないまま敷地に残されてきた建物である。かつては地域の若者が学び舎として日々を過ごし、卒業生たちが地域社会へと巣立っていった教育の拠点であった。窓ガラスが破れ天井の一部が剥落した現在の姿には、活気に満ちていた校時代との対比から独特の寂寥と時の重みが漂い、香取の地に深く根を下ろした教育の歴史を物語る風景として、人々の記憶に残り続けている。 寄せられる体験談で繰り返し語られるのは、深夜に校舎の外から眺めていると廊下の窓沿いに複数の人影が連なって移動していくのが見える、というものである。誰もいないはずの教室から椅子を引くような硬い音が立った、グラウンドの方角から遠い喚声に似た響きが届いた、金属棚が倒れる音の後に深い静寂が戻った、と語る訪問者が幾人もいる。 地元では校舎を母校として記憶する人々が多く、廃校後も卒業生たちが折に触れて思い出を語り継いできた。怪異の語りは失われた学び舎への郷愁と結びつき、地域の物語のなかで温かく受け継がれているといえる。 廃校舎は管理者のある施設であり、無断立ち入りは不法侵入にあたる行為である。老朽化による落下物や床抜け、ガラス片による負傷の危険も大きく、絶対に内部へは立ち入らず、ここで学んだ卒業生たちと教えた教職員たちの記憶を尊重し、外部から静かに見守るに留めるべきである。
