
樫田トンネル
大阪府高槻市の北端、樫田地区にある樫田トンネルは、昇尾峠の直下を貫く全長280メートルほどのトンネルで、高槻市街側は芥川に、京都府亀岡市側は年谷川に沿って道が延びている。1973年に開通するまでこの一帯は、徒歩や小さな車で険しい峠道を越えるしかなく、地域の子どもたちの通学路としても長く使われてきた。樫田はさらに古くから、東の善峯寺、北の穴太寺、西の妙見山という各地の霊場を結ぶ巡礼路の結節点でもあり、摂津と丹波を跨いで人が行き交う峠として歴史を重ねてきた土地である。付近には江戸時代、この地で亡くなった巡礼者を供養するために建てられたとされる道標も残っている。 そうした山中の一本道という条件もあって、トンネル開通後は深夜の心霊スポットとして噂されるようになった。走行中に前照灯や車内の電装品が突然働かなくなり、トンネルを抜けた先で元に戻るという話や、トンネル内を歩く少女の姿を見た、車を降りた後にシートから火の玉のようなものが浮かび上がったといった話が伝えられている。建設時に労働者が死亡したとする噂もあるが、公的な記録による裏付けは確認されておらず、付近には平家の落人が住み着いたという伝説も残る。