
行者還トンネル
奈良県吉野郡天川村・上北山村境、国道309号の酷道区間に位置する隧道である。この道路は1976年に行者還林道として開通し、2002年に国道309号へ編入された。トンネルは全長約1,151メートルで、照明が乏しく素掘りに近い岩肌が残る構造となっている。名称は、修験道の開祖とされる役小角がこの先の険しい岸壁を前に引き返したという伝承に由来するとされ、周辺の行者還岳もこの逸話にちなんで名付けられている。心霊スポットとしては、白い着物姿の老婆や老人がゆっくりと歩く姿、白装束の女性や背広姿の男性の人影がトンネル内に現れ、車のヘッドライトに照らされると消えるという話がある。また、トンネル内で大声を出すとエンジンが突然停止したり、通過後にタイヤがパンクしたりするといった車両の異常、ラジオが自然に流れ出す、壁に人の顔のような影が浮かぶといった噂も伝わっている。トンネル自体で起きた具体的な事件・事故の記録は確認されていないが、険しい峠道で命を落とした修行者がいたのではという推測も語られている。心霊系サイトには目撃投稿が数十件寄せられている一方、実際に訪れた人の感想では「普通のトンネルだった」という声も少なくなく、探索の様子を収めた動画も複数公開されている。照明のない長い坑道特有の暗さと、険しい山岳路を通過する緊張感が、こうした噂の背景になっていると考えられる。
