
北陸自動車道 赤目トンネル
富山県下新川郡入善町を通過する北陸自動車道の赤目トンネルは、北アルプスの裾野が日本海へ落ち込む地形を貫いた高速道路トンネルである。北陸の物流と人の往来を支える大動脈として日々多くの車両が行き交い、冬期は降雪や強風による厳しい走行条件で知られている。沿線の集落には古くから海と山の境界に関わる伝承や、難工事を伝える語りが残されてきた土地でもある。 寄せられる体験談で繰り返し語られるのは、深夜にトンネル中央付近を通過しているとき、前方の路肩に白い輪郭の人影が一瞬だけ立っているように見える、というものである。ルームミラー越しに後部座席の方向から視線のような気配を感じた、トンネル内のラジオに低いうなりが混じった、と語る運転者がいる。具体的な事件と直結する伝承ではなく、高速道路という人工的な景観のなかで、長距離夜間運転にともなう疲労や緊張が物語的に立ち現れているのだと受け止められている。 地元では、北陸道の建設と維持に従事した工事関係者や、沿線で命を落とされた交通事故の犠牲者への弔いが、道路の歴史を伝える語りのなかで穏やかに受け継がれてきた。現象の話は単なる怪異ではなく、安全運転の戒めと殉職者への哀悼を伝える寓話的な側面を強く持つ語りである。 高速道路本線およびトンネル内での停車や徒歩侵入は道路交通法違反であり、追突事故の危険が極めて高い。心霊目的の訪問は厳に控え、通行する場合は適切な車間距離と速度を守り、犠牲者と道路工事関係者への敬意を欠かさないこと。
