
大谷池
大谷池は愛媛県伊予市南伊予に広がる愛媛県最大級のため池で、貯水量は約176万立方メートルに及ぶ。旧南伊予村は大正期から昭和初期にかけて旱魃と水害を繰り返し受け、当時の村長が私財を投じて池の築造に着手した。工事は室戸台風による基礎の崩壊や岩盤の脆さによる漏水対策の難航に見舞われ、戦時下の資金不足も重なって県営事業へ移行し、延べ37万人を超える住民の人力作業を経て1942年に完成した。 この難工事の記憶を背景に、池の完成には多くの人柱が捧げられたという伝承が広まっている。特に「工事を進めるため100人の女性が人柱として沈められた」という話が知られるが、記録に残る工事中の死者は数名程度とされ、池のほとりに立つ百体地蔵は工事の犠牲者や水子を供養するために建てられたものと考えられている。人柱の伝承は、村長が自身の写真を人柱代わりに埋めたという逸話と、この地蔵群の存在が結びついて形成されたとの指摘もある。 心霊スポットとしては、水面を白い着物姿の女性の霊が見つめている、夜に女性の悲鳴のような声が響く、水面から幾つもの白い手が伸びてくるといった噂が伝えられている。堤防の決壊で多数の犠牲者が出たとする話も流布しているが、実際の被害規模は資料により大きく異なる。