
古城の丘
愛媛県今治市の唐子山(からこやま)山頂に残る古い城跡。標高105メートルの小高い丘で、戦国時代から江戸時代初期にかけての歴史を秘めた場所である。この山頂には国分山城が築かれ、かつて伊予国の支配拠点として機能していた。16世紀末の豊臣秀吉による四国征伐では、小早川隆景の軍勢による砲撃に城主が抵抗せず降伏した。その後、福島正則、池田秀氏、小川祐忠といった武将が城主として統治に当たったが、1600年の関ヶ原の戦いで功績を立てた藤堂高虎が二十万石に加増され、より海運統制に適した位置に新しい今治城を築造したため、この山城は廃城となった。現在、山上には石垣や土塁の跡が残り、連なる代々の今治藩主の墓所が山麓に位置している。古い時代に権力が集中していた場所が次の時代に放棄される際、そこに納められた期待や思いが留まるものなのか、訪問者の中には夜間の山道で落ち着かぬ感覚を覚える者も多い。山頂からは瀬戸内海が見渡せ、かつての統治者たちが眺めたであろう景色が今も変わらず広がっている。


