
鬼ヶ城跡
愛媛県宇和島市の東に位置する標高1,151メートルの鬼ヶ城山は、四国山地の南端に聳える独特の地理を持つ山である。山名の由来は複数説が存在し、「鬼が棲むほどに深い森に覆われている」との形容による名付けと、宇和島地方の祭礼で用いられる「牛鬼」という山車の姿に似ていることに由来するという説がある。17世紀には宇和島藩と吉田藩の領界を巡る紛争の対象となり、1665年に幕府から「北は鬼ヶ城峯を東西の境」とする判定が下されている。 「城跡」との呼称を持つが、具体的な中世山城の遺構や防御施設、曲輪などの詳細な構造について史料に記録された痕跡は明らかでない。山頂付近は広葉樹林に覆われ、冬季には樹氷が形成される景観で知られ、宇和海やリアス式海岸の眺望を得られるため、登山者には景観地として親しまれている。深い森と複雑な地形は、光の乏しさと音響の複雑さをもたらす空間的特性を備えている。

