
太平山
栃木市の太平山は標高341メートルの里山で、古くから信仰対象の山として存在してきた。垂仁天皇の時代に大物主神と天目一大神が鎮座したのが始まりとされ、約2000年前から祭祀の対象になっていたことが、周辺の遺跡・遺物によって裏付けられている。第53代淳和天皇の治世に「天下太平を祈る社」の造営が詔された後、天長4年(827年)に慈覚大師円仁が入山し本格的な開山に至った。戦国時代には上杉謙信が謙信平から関東を臨んだとの伝承があり、江戸期には徳川幕府から朱印地50石を認められるなど、武門・朝廷の両者に信仰されてきた。麓から山頂へ向かう千段を超える参道は春に桜、初夏にあじさいで彩られ、謙信平からの眺望は陸の松島と称されるほどの景観を呈している。山頂付近の太平山神社は現在も瓊瓊杵命をはじめ42社、60体以上の神々を祀っており、その豊かな信仰体系と古い祭祀の伝統が層状に積み重なった場所となっている。