
寺田池公園
寺田池公園は、福岡県春日市の住宅地に位置する親水公園で、江戸時代から続く農業用ため池を整備したものである。春日市は1664年の白水池改修や1854~1860年の小倉用水路開設など、藩政期の灌漑開発により市域に約60のため池が造成された地域であり、寺田池はこれらの歴史的な水利施設の一つと考えられる。戦後の高度経済成長期に、春日市は米軍基地返還跡地の開発と相まって農村から県内有数のベッドタウンへと急速に変貌し、それに伴い多くのため池は埋め立てられたか縮小された。寺田池公園はこうした時代の転換の中で、わずかに残存した水辺として親水公園として再整備され、現在は遊歩道の整備とともに、地域の歴史的水利の痕跡を物語る空間となっている。池の水深が場所により異なることは江戸期からの掘削の不規則さを反映しており、暗い時間帯に池畔に立つと周囲の灯火が水面に映り込み、その映像が動きを伴って見える現象が、人の姿のような錯覚を生じさせやすい環境である。