
草津白根山
群馬県吾妻郡草津町に位置する草津白根山は、山頂部にエメラルドグリーンの火口湖・湯釜を擁する活火山で、上信越高原国立公園を代表する景勝地として広く知られている。湯畑で名高い草津温泉の源流をなす山でもあり、登山者と湯治客の双方から長く親しまれてきた経緯を持つ。一方で火山ガスの噴出や噴火活動による痛ましい事故も繰り返し記録されてきた山であり、火山地帯特有の荒涼とした地形と犠牲者への追悼の念が、訪れる者の心に静かな緊張をもたらす場所である。 寄せられる体験談で繰り返し語られるのは、霧の濃い夕刻に火口周辺の遊歩道沿いを歩くと、硫黄の臭いに混じって人の囁きに似た細い音が断続的に届いてくる、というものである。立入規制柵の向こうに登山装備の人影が一瞬立っていたように見えた、湯釜の方向から低い呼び声に似た響きを聞いた、振り返ると気配が消えていた、と語る登山者もいる。 地元では、火山と共に生きてきた草津の歴史において、湯の恵みへの感謝と山で命を落とされた方々への弔いが分かちがたく受け継がれてきた経緯がある。怪異の話は山への畏敬と感謝を伝える形でのみ静かに語られる傾向が強い。 草津白根山は活動的な火山であり、立入規制区域は法令で厳格に定められている。火山ガスは無臭でも致死的になり得るため、規制と退避指示、防災当局の指導を絶対に遵守すること。訪れる場合は気象庁・自治体の最新情報を確認し、犠牲者への追悼を胸に静かに巡る姿勢を大切にしてほしい。