
鬼押し出し原
群馬県吾妻郡中之条町から長野県境にかけて広がる鬼押し出し原は、1783年(天明3年)の浅間山大噴火によって形成された溶岩地形です。噴火の頂点を迎えた7月8日、山北側の斜面から流出した大規模な溶岩流は、幅800メートルから2キロ、延長5.5キロに及び、凝固後も6.8平方キロメートルの広大な台地として現在に至ります。 この噴火は上野国一帯に極めて甚大な被害をもたらし、死者は1,600人を超えました。被害は直接的な火砕流にとどまらず、岩屑なだれや天明泥流により関東平野全域に波及し、北麓の鎌原村(現群馬県嬬恋村)では人口570人のうち477人が亡くなるなど、地域の歴史に深刻な傷跡を残しています。 現在、奇形な溶岩塊が地平線まで続く独特の景観は、当時の火山活動の激烈さを物理的に示す存在として機能しており、多くの訪問者を引き付けています。夕暮れから夜間にかけての溶岩原では、岩間を通る風が不規則な音を発生させることが知られており、この音響現象が不安感を増幅する要因となっています。
