
菅生沼
茨城県常総市と坂東市の境界をなす菅生沼(すがおぬま)は、南北約5キロメートルにわたって細長く伸びる湿性湖沼である。利根川水系の支流である小貝川と飯沼川、新田川の合流点付近に形成された遊水地で、周辺の田園地帯と一体になった湿原景観をなしている。 菅生沼の特徴は、毎年冬季に飛来する白鳥の群れである。シベリアから渡ってくるコハクチョウとオオハクチョウが11月下旬から3月にかけて越冬し、ピーク時には300羽前後が一帯に集まる。関東地方では福島県境を除けば最大規模の白鳥飛来地として、バードウォッチャーや写真愛好家に長く親しまれてきた。 環境省と茨城県は菅生沼を県立自然公園と鳥獣保護区に指定し、湿地生態系の保全を続けている。茨城県自然博物館(坂東市)が沼の畔に建ち、菅生沼の動植物相と保全活動の解説展示を行っている。 菅生沼の歴史的役割として、利根川水系の遊水地機能が知られる。利根川と鬼怒川流域は江戸期から戦後にかけて度々大規模な水害に見舞われ、菅生沼を含む小貝川下流の湿地帯は、増水時の遊水池として地形的に機能してきた。20世紀後半の河川改修によって洪水被害は減少したが、沼そのものの遊水機能は維持されている。 見学は茨城県自然博物館の駐車場から徒歩で湖畔の遊歩道へアクセスできる。冬季の早朝、白鳥の飛び立ちと夕方の塒入りの瞬間が観察の好機。観察マナー(餌付けの可否、撮影距離、フラッシュ禁止など)に留意する必要がある。