徳島県山道・峠系 心霊スポット

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徳島県の心霊文化

四国の東端・徳島県は、平家落人の隠れ里と踊りの狂熱を抱える地である。源平合戦の敗者が逃れたとされる断崖の秘境・祖谷渓、四百年続く阿波踊りの陶酔と熱狂、剣山に眠るとされる古代の謎、空海ゆかりの四国遍路の霊場——深い山と渓谷に閉ざされた阿波の地は、敗者の悲哀と山岳信仰が重なり合い、今も独特の濃密な闇を湛えている。

山道・峠という場所

峠は古来、村境を越える者を試す結界であった。修験道の行場、行き倒れの旅人、街道筋を彩った辻斬りや山賊の血が、杉木立の闇に折り重なる。山姥や天狗の伝承は、迷えば二度と戻れぬ山の不可知に対する、先人の畏れの結晶である。

大歩危・小歩危(祖谷渓谷)
山道・峠·徳島県 三好市

大歩危・小歩危(祖谷渓谷)

大歩危・小歩危は徳島県三好市の吉野川中流域に位置する約8kmの渓谷で、2億年の地質活動によって形成された。地層は三波川帯に属する変成岩から成り、その折曲構造と侵食によって、急流が彫り込むV字谷の断崖絶壁が連続する地形をもたらした。名称は古語の「ホケ」(断崖)に由来し、険しい山道と急流の危険性を示唆している。平家の落人伝説と結びつきながら、地域の民俗文化に組み込まれてきた。2014年に国の天然記念物、翌2015年に国の名勝に指定された。

祖谷渓
山道・峠·徳島県 三好市

祖谷渓

徳島県三好市西祖谷山村と東祖谷の山あいに広がる祖谷渓は、剣山地の北側に位置する全長10キロメートル、深さ200メートル前後のV字渓谷である。日本三大秘境のひとつに数えられ、岐阜県白川郷、宮崎県椎葉村と並ぶ山深い隔絶地として、長く山岳民俗の研究対象になってきた。 地形は中央構造線の断層帯を吉野川の支流・祖谷川が深く侵食して作られたもので、谷壁はほぼ垂直に近い断崖が連続する。蛇行する川と切り立った崖が「ひの字」のような輪郭を成すことから、地元では「ひの字渓谷」とも呼ばれる。 祖谷の文化のなかで全国に知られるのは、平家落人伝説とかずら橋である。寿永4年(1185年)の屋島・壇ノ浦の戦いで源氏に敗れた平家一門のうち、平国盛と一族が、追手から逃れて阿波山中に隠れ住んだ、という伝承が地域に長く根付いている。安徳天皇の御陵参考地と呼ばれる場所、平家屋敷民俗資料館、平家伝説に由来する地名が、いまも東祖谷一帯に点在する。歴史学的には伝承の確実な裏付けは乏しいものの、室町期以前から人の住んでいた痕跡があることは確かである。 かずら橋は、シラクチカズラ(サルナシのツル)を編んで架けた原始的な吊り橋で、現存するのは奥祖谷の二重かずら橋と西祖谷のかずら橋の計3本。西祖谷のかずら橋は1955年に国指定の重要有形民俗文化財に指定された。橋を維持するため、地元の保存会が3年ごとに架け替え作業を行っている。一本のツルから橋を作るには30トン前後のツルが必要で、いまも山中での採取と編組作業は伝統技法で継承されている。 アクセスは徳島自動車道井川池田ICから約1時間。日本三奇橋のひとつとして観光地化が進んだ現在も、谷の奥深さと文化の根深さは健在である。

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