
弥富市旧木曽三川水害霊
愛知県弥富市は木曽川・長良川・揖斐川が流れ込む河口デルタにあり、地盤が海面より最大3メートル低い土地である。江戸期には大堤防御囲堤が築かれたが、美濃側は堤防の高さに制限があったため、地域全体を堤防で囲んで洪水から守る輪中が形成された。1754年、幕府は薩摩藩に木曽三川の分流工事を命じ、現在の千本松原など治水遺跡を残している。明治期には国家予算の約12%を投じた大規模改修により三川が完全に分流された。1959年の伊勢湾台風では高潮により堤防が決壊し、鍋田干拓地では在住者318人のうち133人が亡くなるなど、弥富市全域で308人の死者を記録した。地盤沈下により1970年代には年間18センチの沈下も記録され、災害に翻弄されてきた土地の履歴が地層のように積み重なっている。

