
沖縄・糸数アブチラガマ
沖縄県南城市玉城に位置する糸数アブチラガマは、全長270メートルの自然鍾乳洞である。太平洋戦争末期の1945年、日本軍は本洞を地下陣地として整備し、南風原陸軍病院の分室とした。戦況悪化に伴い、軍医や看護要員とともに南部へ向かったひめゆり学徒隊の一部も配属され、最大時には600人を超える負傷兵が洞内に収容されていたとされる。 洞窟内は手術室・治療室・病棟に区画され、日本軍が折った鍾乳石で石垣を築き、カマドで火を焚くなど地下医療施設として機能していた。5月25日の全員撤去命令後、負傷兵と住民が本洞に退避したが、その直後に米軍の火炎放射攻撃を受け、多数の死傷者が生じた。現在、洞内には犠牲者を追悼する石碑が安置されている。 今日では専属ガイドによる平和学習施設として整備され、年間多くが訪問する。ガイドなしでの入壕は認められず、訪問者は懐中電灯とヘルメットの装備のもと、戦地下での医療活動と民間人被害の実相に向き合う。

