
大師山清大寺(越前大仏)
福井県勝山市に立つ大師山清大寺は、相互タクシー創業者として知られる実業家・多田清が郷里に約三百八十億円の私財を投じ、一九八七年に落慶させた寺院である。境内には座像として国内最大級とされる高さ十七メートルの大仏が鎮座し、鉄筋コンクリート造でも屈指の規模を誇る五重塔、全国から集めた石や灯籠を配した回遊式庭園、千体を超える石仏が並ぶ。だが観光施設として構想された寺は参詣者が伸び悩み、一九九〇年代半ば以降は納税が滞って土地建物が市の管理下に置かれ、公売も繰り返し不調に終わった。門前の土産物街はほぼ閉ざされ、広大な伽藍だけが手入れされた状態で人影なく残る光景は、しばしば「生きている廃墟」と評されてきた。 心霊スポットとして名が挙がる背景には、この不釣り合いさがある。廃墟でありながら整然と磨かれ、線香や仏花の香りもないまま巨大な仏ばかりが連なる空間は、訪れた者に説明しがたい違和感を残すという。祖先の供養を願って築かれた霊場が、時代の熱狂とともに置き去りにされた記憶を宿す場所として語られることがある。

