
香川県立廃校
香川県小豆島町の山あいには、戦後から 1970 年代にかけて島の子どもたちが通った小学校の建物が、少子化と統廃合を経て廃校として残されている。校舎は窓ガラスが割れ、校庭は草木が伸び放題となり、独特の静謐に包まれているが、地元の年配の住民の間では「夜になると子どもたちの声が戻ってくる」と語られ続けてきた心霊スポットとして名前が挙がる場所である。 寄せられる体験談で繰り返し語られるのは、深夜に廃校の外周を歩いていると、校庭の方向から子どもの笑い声や呼び合うような声が断続的に聞こえる、というものである。ブランコの鎖がきしむ音が風のない晩に響いた、廊下の窓越しに小さな影が走り抜けるのを見たと語る訪問者がいる。卒業生にとっては懐かしさと寂しさが同居する場所として、現象の話は哀切な響きを帯びる。 小豆島では、戦前から続いた小規模な分校・集落単位の学校が、人口減と共に次々と統廃合されてきた経緯がある。地元では、廃校という器そのものに、かつて集った子どもたちの時間が静かに残っているという解釈が、特定の霊として個別化することなく穏やかに語り継がれてきた。 廃校の敷地は教育委員会や民間の管理下にあり、立ち入りは不法侵入と老朽化による事故の双方のリスクを伴う。校舎の床抜けや崩落、残置物による怪我の危険が高く、また近隣は住宅地のため夜間の徒歩散策は生活を乱す。心霊目的の訪問は厳に控え、関心がある場合は外周道路から外観を眺める範囲にとどめること。