
大日影トンネル
山梨県甲州市勝沼、ぶどう畑の広がる丘陵を貫く旧国鉄中央本線の煉瓦造りトンネル。1903年(明治36年)に開通し、急勾配の難所として長く列車を通してきたが、新線への切り替えにより1997年に役目を終えた。その後は遊歩道として整備された時期もあったが、老朽化のため立ち入りが制限され、ひんやりと暗い廃隧道として、心霊スポットとしても語られるようになった。全長は約1.3kmあり、内部に入ると外の光がまったく届かなくなる区間が長く続くため、わずかな物音や気配さえ増幅され、ひとりで歩くには勇気のいる場所だと言われる。 トンネルの内部では、出口の光が遠ざかる中ほどで人の気配を感じた、誰も歩いていないのに足音が反響してついてきた、壁の煉瓦に手をついた瞬間に強い寒気を覚えた、といった体験談が伝わる。百年以上にわたって列車と人を見送ってきた長い隧道の闇と、染み出す湧水の冷たさが、こうした語りを支えている。勝沼側と深沢側を結ぶこのトンネルは夏でもひやりと冷たく、暑い季節の肝試しスポットとしても語られてきた。 難工事の歴史を持つトンネルだけに、地元では建設や運行に携わった人々への敬意が受け継がれており、遺構を荒らす行為は戒められている。 トンネル内は照明や換気が乏しく、足元も悪い。立ち入りが制限されている区間も多く、無断での進入は事故や法令違反につながる。訪れる際は公開状況を確認し、開放された範囲と時間を必ず守ること。
