
宿泊・居住跡·福岡県 福岡市
福岡市・志賀島廃旅館
志賀島は福岡市東部に位置し、古来より東アジアの海上交易の要所であった島である。弥生時代後期の西暦57年、漢からの外交を象徴する金印がこの島で出土しており、その後も漁業と海運の中心地として栄えてきた。玄界灘に面した海岸線は古くから多くの海難事故の舞台となっており、島の漁村文化と海への敬意が深く根付いている。 昭和から平成にかけて、志賀島は福岡近郊の観光地として発展し、海岸沿いには複数の観光宿泊施設が建設された。この廃旅館もその時代に営業していた施設の一つであり、現在は海岸沿いの廃墟として残されている。建物の周囲からは、観光地としての発展と衰退という近代の歴史が読み取れ、玄界灘に面した立地は、交易の時代から海難の時代を経て現在に至る、島の複層的な時間の蓄積を象徴している。