
太宰府天満宮裏
太宰府天満宮は、9世紀の学者・政治家・菅原道真を祀る古社である。道真は33歳で学者としての最高位である文章博士に就き、その後右大臣にまで昇進したが、901年に藤原氏の政争に敗れて大宰府へ左遷された。この地で2年間の不遇を過ごしたのち、903年に59歳で没した。死後、都で相次いだ落雷や政治家の突然死が彼の怨念とおそれられ、民間信仰は道真を「天神」として祀ることで鎮魂しようとした。910年代には墓所に社が造営され、後に全国の天満宮の総本社へと発展している。現在の本殿は1591年に再建されたもので、境内に植わる6000本の梅の樹は道真が生前愛でた木である。本殿裏手の杜は、無実の罪で異郷に没した人物への歴史的記憶と信仰が層積した空間として、参拝者に深い静謐さをもたらす場所となっている。
