
串本沿岸 橋杭岩
和歌山県の本州最南端に近い串本町沖に、大小40余りの岩が約850メートルにわたり南北一直線に並ぶ橋杭岩。およそ1500万年前の火山活動に由来する石英安山岩の岩脈が、長年の海食によって現れたものである。国の名勝・天然記念物に指定され、日本の地質百選にも選定されている。 弘法大師が一夜で海に橋を架けようとしたが、天の邪鬼に鶏鳴の声で騙されて工事が中断され、橋杭だけが残ったという伝説がこの地に根ざしている。この海域は古くから航海と漁業の場であると同時に、天候の急変による海難が相次ぐ危険な水域でもある。1890年にはトルコ軍艦エルトゥールル号が暴風雨で遭難し、600名以上の犠牲者が出ている。 日中は観光地として知られる一方、夜間の訪問者からは、暗い岩と岩の間から引き寄せられるような感覚や、波音に混じる人声のような音を聞いたという報告がある。これらは、複雑な地形と心理的な期待が重なった現象と考えられる。
