神域・霊場·富山県 中新川郡立山町
立山地獄谷
立山地獄谷は立山連峰の中腹にある火山性の爆裂火口で、硫化水素などの噴気と熱湯が今も噴き出す一帯である。平安時代、この地を見た修験者が都にその異様な光景を伝えたことで「立山に地獄あり」という認識が広まり、恐山・川原毛地獄などと並ぶ日本三大地獄の一つとされてきた。『今昔物語集』には、罪により立山地獄に堕ちた女性の亡者が修行僧の前に姿を現し苦しみを訴える説話(巻十四第七話)や、越中国の書生の妻が地獄に堕ち、訪れた子らが岩間から母の声を聞いたという説話(巻十四第八話)が記されている。近代以降も1967年11月、キャンプ中の2名が火山ガス中毒で死亡する事故が発生し、現在も有毒ガスの濃度に応じて遊歩道の立ち入りが規制されている。こうした歴史的背景と立ち入り規制区間の存在から、地獄谷周辺では「何かうめくような音が聞こえた」「霧や噴煙の中に人影のようなものを見た」といった体験談が一部で語られている。