
黒部ダム
富山県中新川郡立山町、北アルプスの奥深く、黒部川の上流に黒部ダムは立っている。堤高186メートルは日本最大、貯水量は約2億立方メートル。完成したのは1963年(昭和38年)、関西電力の電源開発事業として7年の工期で建設された。 地元で「くろよん(黒部川第四水力発電所)」と呼ばれるこの工事は、戦後復興期の関西の電力需要に応えるために計画された。難工事の象徴として何度も語り継がれるのが、資材輸送路となる大町トンネルの掘削中に直面した「破砕帯」である。長野県側の坑口から800メートル付近で遭遇した幅80メートルの軟弱地層は、毎秒660リットルにも及ぶ大量の地下水を噴き出し、掘削した分だけ崩落が進んだ。間組(現・安藤ハザマ)と熊谷組の二大ゼネコンが交代で挑み、7か月かけてようやく突破した。 ダム建設に直接・間接で関わった作業員のうち、171名が命を落としている。その内訳は、トンネル掘削事故、岩盤崩落、雪崩、墜落など多岐にわたる。慰霊碑が大町トンネル長野県側出口と、ダムサイトの2か所に建てられ、関西電力は現在も毎年慰霊祭を実施している。 見学は4月中旬から11月末まで、立山黒部アルペンルートと扇沢からの黒部ダム駅経由でアクセスできる。観光放水は6月下旬から10月中旬の毎日10時から15時の間。冬季はアルペンルート閉鎖のため到達不可。