
赤間神宮
赤間神宮は下関市の関門海峡沿いに鎮座し、壇ノ浦の合戦で祖母とともに入水し崩御した安徳天皇を祀る神社である。龍宮を模した朱塗りの水天門が特徴で、境内には壇ノ浦で命を落としたと伝わる平家一門十四名の墓とされる七盛塚が並ぶ。伝承によれば、天明年間に海峡で嵐が続き船の往来が絶えたころ、夜ごと海上に武者や女官の姿が現れたため、これを祟りと恐れた住民が墓を京都の方角に向けて改葬し供養したところ嵐が収まったという。境内の芳一堂には、小泉八雲の『怪談』に収められた「耳なし芳一」の主人公とされる盲目の琵琶奏者の像が祀られている。かつて当地が阿弥陀寺と呼ばれていた頃、芳一は夜ごと請われるまま平家の墓前で琵琶を弾いていたが、経文を書き忘れた両耳だけを引きちぎられたと伝わる。合戦の記憶と鎮魂の物語が重なり、この一帯は心霊の伝承が語られる場所として知られている。
