
安芸高田市の旧武家屋敷
安芸高田市の旧武家屋敷は、毛利元就が生涯の本拠とした吉田郡山城の城下町に遺存する家臣団の屋敷跡である。郡山城は戦国期に東西1.1km、南北0.9kmの山全体に及ぶ中国地方最大級の山城として築かれ、280以上の防御施設を配置した複雑な要塞体系を持っていた。城下では組織的な町割りによって商家や武家の屋敷が配置され、吉田町として機能していた。関ヶ原の戦い後、毛利氏が広島城へ本拠を移すと郡山城は廃城となったが、市内に残存する屋敷跡や町並みの遺構は戦国期の都市構造を今に伝える。現在、郡山城跡は国指定史跡として、また毛利一族の墓所は史跡として保全されており、市による慰霊と顕彰が継続されている。訪問者の間では夜間に屋敷跡から複数の男声が重なり合うような響きが聞こえるという報告があるが、これは戦国期に当地に集った人々への記憶がもたらすものと解釈される傾向にある。