
弥彦神社・奥の院
新潟県弥彦村の弥彦神社は創建から2400年以上の歴史を持ち、越後国一宮として古来より朝廷の厚い尊崇を受けた有力社である。祭神の天香山命は古事記に登場する神で、越国開拓の使命を帯びて野積の浜に上陸し、地域に漁業や製塩、稲作などの産業技術をもたらしたと伝えられている。第六代孝安天皇の時代に神去りして弥彦山に葬られたという社伝によれば、その後この地に廟社が営まれ、現在の奥の院(御神廟)となった。 弥彦山は標高634メートルの小高い山で、神体山として信仰されている。山頂の奥の院には天香山命と妃神が祀られ、春秋の御神廟祭では国家安泰と五穀豊穣が祈願される。麓の本社から山頂までは登拝路が整備され、表参道で約90分、ロープウェイ利用でも訪れられる。旧暦で区分された参道の作法や、夜間登山を慎む地域慣習が長く受け継がれてきたのは、山全体を神域として捉える信仰体系の表れである。