
高遠城跡
伊那谷を見守る高台に位置する高遠城は、15世紀の諏訪氏一門の城から始まり、武田信玄により大規模に改築された戦国期の要塞である。1547年の改築時には山本勘助らが指揮を執り、以降、伊那地方支配の中心地として機能した。 転機は1582年の織田信忠による甲州征伐。仁科盛信が城主だった当時、わずか3千の守備兵で3万以上の大軍を迎え撃ち、一日で落城した。この激戦で多くの武士と兵士が命を落とした。江戸時代には保科、鳥居、内藤の三家が統治し、約270年間藩庁として機能。廃城後、明治初期から桜が植栽されて現在の「天下第一桜」として知られる名所となった。 城跡には江戸期の縄張りが今も残存し、堀・土塁・複数の曲輪がはっきりと識別できる。かつての城域全体が層状に刻まれた地形は、長い歴史の痕跡を地表に記録している。
