
平泉・中尊寺金色堂
岩手県平泉町の中尊寺に建つ金色堂は、1124年に奥州藤原氏初代・清衡によって建立された阿弥陀堂である。清衡は前九年合戦と後三年合戦の戦乱で父と妻子を失い、その悲しみから敵味方を分け隔てず戦で亡くなった人々の魂を慰め、この世に平和な理想郷を実現したいという願いのもと、中尊寺の造営に着手した。金色堂はその象徴的な存在であり、浄土思想が描く極楽浄土の有様を物質的に表現しようとしたものである。 建築は平安時代後期の技術を集約した傑作で、堂内は黄金に輝き、南海の螺鈿細工や象牙、宝石で装飾されている。1968年の復元修理を経て、12世紀当初の姿が甦った。須弥壇の中には、初代清衡、二代基衡、三代秀衡の遺体と四代泰衡の首級が安置されており、藤原氏三代の栄華と四代目での滅亡の歴史を建築そのものが物語っている。2011年、金色堂は「平泉─仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」としてユネスコ世界遺産に登録され、11~12世紀の北方日本における浄土美学の最高峰として国際的に認識されている。