
旧金沢廃花街跡
金沢市の旧市街に残る廃屋群は、江戸期から昭和初期にかけて栄えた花街の痕跡である。用水路沿いに立ち並んでいた格子戸の町家は、その後の都市開発の中で部分的に保存され、部分的に放棄されてきた。金沢は東茶屋街、西茶屋街、主計町茶屋街という三つの著名な茶屋文化地区を擁する城下町で、この廃花街跡はそれらの周辺に位置する。廃屋化した木造建築が生み出す夜間の音響環境は、家屋の隙間や用水を通じた風音・水音が複雑に反響することに由来する。低照度環境では、風に揺れる古い建具の影や用水の暗い水面が視覚的な不確実性を増幅させる。街の急速な変化に取り残された場所として、廃屋と水辺のコンビネーションが特異な空間的印象を形成している。

