
松本城夜間(搦手口)
松本城は永正年間に小笠原氏が支城として築いた深志城に端を発し、天正10年に小笠原貞慶により松本城と改められた。豊臣秀吉の天下統一後、石川数正・康長父子が天守や城郭の大規模な整備を行い、現在の五重六階の天守が形成された。本丸は3重の水堀で防御され、その堀は湧き水で満たされている。搦手口は本丸の背面防御を担う出入口で、内堀に沿った石垣と松並木が水面に映る一帯である。 夜間、堀沿いを歩く訪問者の間では、甲冑をまとった武者の人影が静かに佇んでいるように見える、天守の方角から鎧の擦れるような微音が届いた、堀の水面に映る影が歩調と合わずに揺れていたといった体験が語られてきた。こうした現象の語りは、城郭の軍事的機能と歴史的景観が、闇の中で異なる知覚を喚起することに根ざしていると考えられる。 松本城は現存する五重六階の天守として国宝指定されており、夜間の堀沿いは公道部分を除き立入りや撮影に制限がある区域が多い。深夜の心霊目的の訪問は近隣住民の迷惑となるため避け、訪れる際は日中の開園時間に正面から拝観することが望まれる。




