
雄島(大湊神社)
雄島は福井県坂井市、東尋坊の北に浮かぶ周囲約二キロの無人島である。輝石安山岩の柱状節理と原生林に覆われ、朱塗りの雄島橋で本土とつながる。島には大湊神社が鎮座し、雄島そのものを神体とみなす聖域として、漁業や航海の安全を願う信仰を古くから集めてきた。 心霊スポットとして名が挙がる最大の理由は、参拝路を反時計回り(左回り)に歩くと祟りを受ける、という戒めである。時計回りが神社への正しい参拝作法とされ、これに反すると島を離れたのちに体調を崩す、道に迷う、事故に遭うといった話が結びつけられてきた。近接する東尋坊は投身の名所として知られ、その遺体が潮流に運ばれて雄島の岩礁へ流れ着くとされることも、島の禁忌と死のイメージを強めている。 島内には方位磁石が狂うとされる磁石岩があり、地磁気の乱れが方向感覚の錯覚を生むとも説明される。橋の手前のトンネルに祀られた地蔵と目を合わせてはならない、という言い伝えを挙げる向きもある。こうした話は、海で命を落とした人々への弔いと、聖域を軽んじてはならないという慎みが重なった土地の記憶として受け止められている。

