
七輿山古墳
群馬県藤岡市にある、6世紀前半に築かれた東日本最大級の前方後円墳。墳丘の長さは約145mに及び、古代この地を治めた豪族の墓と考えられている。一帯には、朝廷に滅ぼされたと伝わる豪族・羊太夫の物語が残り、追い詰められた一族の七人の妻(更衣)が、七つの輿に乗って逃れた末に次々と命を絶ったという悲話が「七輿(ななこし)」の名の由来とされる。墳丘に並ぶ石仏の多くが顔を削られた「首なし地蔵」であることも相まって、群馬県でもよく知られた心霊スポットとして語られている。周囲は鬱蒼とした杉木立に覆われて昼でも薄暗く、墳丘へ続く道に立ち並ぶ無数の石仏が、訪れる者に古代の死者たちの気配を強く意識させる。 墳丘や参道では、夕暮れ以降に女性のすすり泣きが聞こえた、首のない地蔵のそばに人影が立っていた、写真に白い影が写り込んだ、といった体験談が数多く語られてきた。古墳の深い静寂と、削られた石仏の異様な姿とが、訪れる者に強い不安感を与えると言われる。肝試しに訪れた者が、帰ってから原因の分からない体調不良に見舞われたという話も後を絶たない。 古墳は国の史跡として保存され、地元では葬られた人々や、悲話に登場する女性たちへの鎮魂の念が受け継がれている。 墳丘は崩れやすいうえ、木立に囲まれて夜間は足元がまったく見えず、転倒や滑落の危険がある。見学は必ず日中に行い、墳丘や石仏を荒らさず、ここに眠る人々への敬意をもって静かに歩くこと。
