三重県隧道・トンネル系 心霊スポット

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三重県の心霊文化

伊勢神宮を擁する三重県は、二千年の祈りと熊野の修験が交わる日本最古の聖地である。御杖を伝う伊勢の杜の深い静寂と裏腹に、自殺の名所として語られる青山高原の風車群、お伊勢参りの難所に穿たれた旧鬼ヶ城トンネル、熊野古道の苔むした石畳——天照大神を祀る神聖な気配と、参詣道に倒れた巡礼者たちの無念が、伊勢志摩の海風の中で今も静かに同居している。

隧道・トンネルという場所

山腹を貫くトンネルは、自然の境界を強引にこじ開けた人工の異界である。明治以降の鉄道・道路開削に伴う落盤事故、過酷な労役に倒れた工夫、人柱の伝承が地中に積層し、闇の奥に沈殿する。出口の光が遠ざかる錯覚は、訪れる者を時間ごと飲み込んでいく。

旧長野トンネル(長野峠)
隧道・トンネル·三重県 伊賀市

旧長野トンネル(長野峠)

三重県津市と伊賀市の境にある長野峠は、飛鳥・奈良時代に朝廷と伊勢神宮を結んだ奈良街道の要衝で、古くは馬野峠と呼ばれていたが、鎌倉時代後期に勢力を伸ばした長野工藤氏にちなみ長野峠と改められたと伝わる。江戸時代には藤堂藩が整備した伊賀街道の一部として利用された。峠には明治・昭和・平成の三世代のトンネルが残り、明治18年に竣工した花崗岩造りの初代トンネルは、着工から4年7か月、ノミとツルハシのみで掘り進めた難工事だったとされる。この工事中の崩落事故で亡くなった作業員の霊が、内部に残るとされる無数の白い手形の由来として語られている。昭和14年に完成した二代目トンネルでは、交通事故による死者の霊や、着物姿の女性、落ち武者、人魂などの目撃情報が複数報告されており、車の後部座席に何者かが座る気配や、フロントガラスに人影が現れたという体験も伝えられている。平成20年の新トンネル開通後、旧トンネルは崩落の危険から封鎖され、現在は立ち入りができない状態にある。

旧女鬼トンネル(女鬼隧道)
隧道・トンネル·三重県 多気郡多気町

旧女鬼トンネル(女鬼隧道)

三重県多気郡多気町、熊野古道伊勢路の最初の難所として知られる女鬼峠の西側に、1934年(昭和9年)に開通した旧女鬼隧道が残っている。全長103メートル、幅4メートル、高さ4.6メートルの小規模なトンネルで、1996年に新トンネルが開通したことで役目を終え、現在は鉄扉によって封鎖されている。 峠の名称「女鬼」の由来には諸説ある。郷土資料によれば、江戸期には「ねぎ峠」「めっき峠」と呼ばれていたものが音の変化を経て現在の表記に定着したとされる一方、峠に人を食う鬼が住んでいたという説、老いた者を峠に置き去りにする風習があり見捨てられた老婆が鬼婆に変じたという説、トンネル建設時に女性が人柱として埋められ、生き残った一人が他の女性を食べたために「女鬼」と名付けられたという説などが並存し、いずれも確定した史料的根拠は乏しい。 これらの由来説と結びつく形で、トンネル内では手招きする女性のような姿や、誰もいないはずの場所から聞こえる女性の声が報告されてきた。訪問後に説明のつかない交通事故に遭った、持ち込んだ照明や撮影機材が突然故障した、原因不明の発熱に見舞われたといった体験も伝えられている。一方で、大規模な事件や事故を裏付ける公的な記録は確認されておらず、これらの噂は複数の由来説が重なり合いながら広まってきたと考えられる。

旧鬼ヶ城トンネル
隧道・トンネル·三重県 熊野市

旧鬼ヶ城トンネル

三重県熊野市木本町の海岸線に、鬼ヶ城という景勝地がある。荒波と風雨が長い時間をかけて削り上げた海食洞窟と海食崖が連続する、独特の地形が観光名所として知られる。国の名勝及び天然記念物に指定され、また「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部として2004年に世界文化遺産にも登録されている。 鬼ヶ城の名は、平安初期の伝承に由来する。熊野灘を荒らした海賊「多娥丸(たがまる)」を、坂上田村麻呂が朝廷の命で討伐した、という説話が地元に伝わる。鬼を退治して住民を守ったという伝承が、岬の名前の由来となった。坂上田村麻呂は実在の人物で、平安初期に蝦夷征討で活躍した武人だが、熊野での鬼退治伝承は説話文学の領域に属する。 鬼ヶ城の海岸線は、長く陸上交通の難所だった。熊野街道はこの一帯では岩山を回り込むか、岬を貫くトンネルを掘るしかない地形である。1959年(昭和34年)、国道311号の前身となる県道のルートとして、鬼ヶ城を貫通するトンネルが開削された。これが旧鬼ヶ城トンネルである。延長は短く、両坑門は装飾性の少ないコンクリート造である。 旧道のトンネルは、新道整備に伴って役目を終え、現在は熊野市の遊歩道の一部として活用されている。海岸線の景勝地・鬼ヶ城へのアプローチコースの途中にあり、徒歩で通過可能。内部は照明が設置されているが、湿気と波しぶきによる結露が床面に水たまりを作るため、注意が必要。 世界遺産登録後、鬼ヶ城周辺の遊歩道は熊野市と三重県によって順次整備が進んだ。鬼ヶ城センター(観光案内所兼物産販売施設)が登山口にあり、地元の漁師町の風景と熊野古道の文化を併せて楽しめる。 波の状況によっては、海食洞窟側の遊歩道に高波が直接当たる場合があり、強風時・荒天時は一部区間が立入禁止になる。訪問前には熊野市の観光協会公式サイトで安全情報の確認が推奨される。

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