
大垂水峠
大垂水峠は東京都八王子市と神奈川県相模原市緑区の境、高尾山の南側に位置する標高392メートルの峠で、国道20号(甲州街道)が通っている。この道は1888年に旧甲州街道の小仏峠越えから付け替えられたもので、1935年には読者投票により神奈川県下の名勝史蹟四十五佳選の一つに選ばれた由緒ある峠道である。一方で1980年代から1990年代にかけては見晴らしの良い連続カーブが夜間の違法な走行競技の舞台となり、死亡事故が相次いだ。事態を受けて神奈川県側では1987年に125cc以下の原動機付自転車の通行が終日禁止される規制が敷かれ、その後は土曜・休日・祝日のみの規制に緩和されつつも、2019年の試験解除まで長く続いた。こうした経緯を背景に、深夜の峠道でバイクを走らせていた人物が一定の距離を保って追走してくる原付の存在に気づき、スピードを上げても離されずついてきた末に峠を抜けると音が消えていた、という体験が語られている。別の記録では、仲間とタイム計測をしていた際に人のいない山道から砂利を踏む足音が聞こえたという話もある。いずれも事故で亡くなった走り手の霊が今も峠に残っているのではないかという受け止め方で共有されている。

