東京都山道・峠系 心霊スポット

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東京都の心霊文化

千年の都を抱える東京都は、徳川幕府の城下町として栄え、その地層に膨大な怨念を堆積させてきた。大手町に祀られる平将門の首塚、新宿の四谷怪談お岩稲荷、北条氏照の悲劇を伝える八王子城跡、戦中戦後の闇を吸い込んだ千駄ヶ谷トンネル、薬王院旧参道——平安の怨霊から空襲の犠牲者までが、煌々と輝く高層ビル群の足元で今も静かに息をしている。

山道・峠という場所

峠は古来、村境を越える者を試す結界であった。修験道の行場、行き倒れの旅人、街道筋を彩った辻斬りや山賊の血が、杉木立の闇に折り重なる。山姥や天狗の伝承は、迷えば二度と戻れぬ山の不可知に対する、先人の畏れの結晶である。

大垂水峠
山道・峠·東京都 八王子市

大垂水峠

大垂水峠は東京都八王子市と神奈川県相模原市緑区の境、高尾山の南側に位置する標高392メートルの峠で、国道20号(甲州街道)が通っている。この道は1888年に旧甲州街道の小仏峠越えから付け替えられたもので、1935年には読者投票により神奈川県下の名勝史蹟四十五佳選の一つに選ばれた由緒ある峠道である。一方で1980年代から1990年代にかけては見晴らしの良い連続カーブが夜間の違法な走行競技の舞台となり、死亡事故が相次いだ。事態を受けて神奈川県側では1987年に125cc以下の原動機付自転車の通行が終日禁止される規制が敷かれ、その後は土曜・休日・祝日のみの規制に緩和されつつも、2019年の試験解除まで長く続いた。こうした経緯を背景に、深夜の峠道でバイクを走らせていた人物が一定の距離を保って追走してくる原付の存在に気づき、スピードを上げても離されずついてきた末に峠を抜けると音が消えていた、という体験が語られている。別の記録では、仲間とタイム計測をしていた際に人のいない山道から砂利を踏む足音が聞こえたという話もある。いずれも事故で亡くなった走り手の霊が今も峠に残っているのではないかという受け止め方で共有されている。

山道・峠·東京都 大島町

三原山

伊豆大島の中央にそびえる三原山は、江戸時代から続く噴火の火柱や火映を「御神火」と呼んで畏敬してきた活火山である。1933年1月から2月にかけて、女学生が同行者とともに火口を訪れ噴火口へ身を投げる出来事が相次いだ。この一件が新聞各社によって大きく報じられ、以後、火口への投身が相次ぐ社会現象に発展し、当時の記録では同年だけで100人を超える死者が出たとされる。事態を受け当局は火口周辺への立ち入り規制や監視強化に踏み切り、以降は件数が減少に転じたものの、その後も散発的な事案が伝えられている。1952年4月には火口東側の山腹に旅客機もく星号が墜落し、乗員乗客37名全員が死亡する事故も起きている。こうした歴史を背景に、火口付近では霧の中に白い人影が現れて近づくと消える、声のようなものが聞こえる、背後に足音を感じるといった話が伝えられている。1986年の大噴火の際には生中継の映像に人影が映り込み話題となったが、後に火山観測のため現地に残っていた人物と判明している。

鳩ノ巣渓谷
山道・峠·東京都 西多摩郡奥多摩町

鳩ノ巣渓谷

東京都西多摩郡奥多摩町の多摩川上流にある約500mの渓谷。秩父古生層を侵食した多摩川が、巨岩と奇岩の間を流れ、急峻な40m超の断崖を形成する。景勝地として江戸期から知られ、明暦3年(1657年)の江戸大火後は、復興に必要な奥多摩材の江戸運搬の中継地として機能した。 地名の由来は、飯場小屋に祀られた玉川水神社の森に営巣した二羽の鳩にさかのぼる。村人がこれを霊鳥として愛護したことから「鳩ノ巣」と呼ばれるようになったとされる。 明治以降は観光地として整備が進み、吊橋「鳩ノ巣小橋」と遊歩道が敷設された。四季の景観、特に紅葉期の訪問客が多い一方で、急流と複雑な地形による水難事故は従来から存在する。夜間や増水時の渓谷内への立ち入りは危険であり、訪問時には日中に整備された遊歩道の利用が推奨される。

御岳渓谷
山道・峠·東京都 青梅市

御岳渓谷

東京都青梅市の多摩川上流に位置する御岳渓谷は、環境省が選定した日本名水百選のひとつで、秩父多摩甲斐国立公園内の景勝地である。渓谷は巨岩が削った複雑な岩盤地形を特徴とし、約4キロメートルの遊歩道が整備されている。多くの落差や深い淵が存在し、季節ごとに多数の来訪者をひきつけるハイキングやカヌー競技の地となっている。 渓谷の南側には標高929メートルの御岳山があり、頂上に武蔵御嶽神社が鎮座する。この神社は紀元前97年の創建と伝わり、奈良時代の736年には修験道の中心地として蔵王権現信仰が定着した。江戸時代には関東における重要な山岳信仰の霊場として発展し、江戸の守護を担う社として崇敬を集めた。渓谷の険しい地形と山上の神聖なる信仰の場が一体となる空間として認識されてきた。 一方で、御岳渓谷の多摩川は水難事故の多発地帯としても知られている。急流と深い淵の組み合わせにより、過去複数の溺水事故が記録されており、地元住民のあいだでは川の危険性についての認識が深く根付いている。渓谷の水は清冽だが、増水時の水位変化は急激で、夜間の渓流歩きは極めて高い危険を伴う。

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